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受験生のインフルエンザ薬の予防投与、懸念点もあり

2019/02/07





 受験シーズンとインフルエンザの大流行が重なり、受験生が発症する前に治療薬を使う予防投与の動きが広がり、懸念されているそうです。学会が推奨するのは、あくまで高齢者施設や病院での予防投与のみで、副作用で体調を崩したり体内に耐性ウイルスが増えて薬が効かなくなったりするおそれもあるためだそうです。また、公的医療保険は適用されず、全額自己負担となるとのことです。

 受験情報サイトの掲示板にも書き込みがあり、「しない理由がわかりません。懸念事項を一つでも減らせるなら安いもの」「我が家も家族全員でイナビル予防投与の予定です」等。

 神奈川県海老名市の診療所にも、問い合わせが相次いでいるそうです。適応外処方であることを説明し、同意書に署名をもらった上で治療薬を出し、週5人程度処方している。同診療所の場合、診察料込みで、6千~8千円とのことです。担当医は「耐性ウイルスを防ぐために決まった用量をのみきるように指導し、受験などやむを得ない事情がある人にのみ処方している」とのこと。

 ですが、日本感染症学会が推奨するのは、病院や高齢者施設の患者や入居者、職員のみだそうです。その理由は、重症化や死亡のリスクが高い人の間でインフルエンザが蔓延するのを防ぐためです。

 添付文書で予防投与の記載があるのは、飲み薬のタミフルと吸入薬のリレンザ、イナビルのみ。発症者の同居家族や共同生活者のうち、65歳以上や呼吸器・心疾患、糖尿病などの患者が対象であり、適応外の処方は、副作用が起きても「医薬品副作用被害救済制度」の給付対象にはならないとのことです。

 ある医師は「乱用で耐性ウイルスが広がれば薬が使えなくなる。社会的弊害が大きい」と話しています。さらに「予防投与の動きが広がって1千人規模になると、副作用で体調を崩す人も出てくる。予防はワクチン接種と手洗い、休養が基本だ」と指摘したそうです。
 

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