感動した出来事

2019/06/20



みなさんは、どんなときに感動しますか?
素敵な映画をみたときや、素敵な人と出会ったときなど、様々あるかと思います。
今回ご紹介するのは、感動した出来事についてです。

以前、私は感動した出来事を目の当たりにしました。それは、2012年のとある日、私が通勤中に出くわした出来事でした。そのとき、私は交差点を渡ろうとして、信号が点滅しだしたので、渡るのをやめました。

そこで私が見たのは、自転車のカゴに一杯の荷物を乗せて、手で自転車を押して横断歩道を渡ろうとする人の姿でした。その人は、信号が点滅すると、焦って、小走りで自転車を押しました。すると、手が滑って勢いよく、自転車が転倒しました。自転車のカゴの中のものは交差点に散らばりました。信号は点滅が終わりそうな頃です。

その瞬間は、私は「危ない」と思い、とっさに自転車に近付こうと、一歩踏み出しました。しかし、私は踏みとどまりました。なぜなら、私よりも早く、手助けした人たちがいたからです。自転車を転倒させてしまった人の近くには、横断歩道を渡る人たちがいました。そして、自転車が倒れた瞬間、近くにいた4、5人は迷うことなく、素早く、倒れた人を助けました。ある人は、自転車を起こしました。ある人は、カゴから散らばったものを拾い上げました。ある人は、倒れた人に手を差し伸べ、起こしていました。そして、信号が変わり、車が交差点を通り始める頃には、無事、自転車とその荷物、自転車の持ち主は歩道まで渡ることができました。助けた人たちは、自転車の持ち主に一言声をかけつつ、すぐに去っていきました。車道内で自転車が倒れてから、助け、歩道内まで避難させる時間は、10秒もなかったように感じました。本当に一瞬の出来事のようでした。そして、その後、日常の風景に戻りました。

私が感動した理由は、車にひかれるかもしれない命の危機に、近くにいた人が「助けたこと」だけではありません。その助けるという行為を「迷わず」「当たり前のように」「知り合いでもない偶然通りかかった近くの人が協力して行っていた」から感動したのです。つまりこれは、「人としての無条件の愛情と正義」をへの感動でした。このような出来事を目の当たりにするたびに、私は人間には生まれながらにして、そのような損得抜きの人としての愛情や正義が存在すると感じます。

さて、実は最近、この私の体験談と似たようなニュースと出会いました。以下に紹介します。

 

(以下、201961日朝日新聞デジタルから引用)

――― 

 

自転車で転んでけがをした女子児童を手当てしたとして、広島県福山市赤坂町の市立福山中・高校の生徒2人が、市教委の「福山学校元気大賞」の「あなたが素晴らしい部門」を受賞した。

 表彰されたのは、いずれも2年の瀬尾陽菜子さん(13)と小川由夢(ゆめ)さん(13)。2人は5月8日の帰宅途中に、自転車で転んで泣いている小学1年の児童に出会った。「大丈夫?」と声をかけて、近くの自動販売機で水を買い、傷口を洗い流した上、持っていたばんそうこうを貼って手当てしたという。翌日、児童の保護者から同校に電話があり、2人への感謝の気持ちが伝えられたという。

(中略)

 表彰された2人は取材に対し、「うれしい。すごいことはしていません。泣いているので助けただけ」と話した。(佐藤英法)

 

―――

このように、中学2年生の2人の生徒は、自転車で転んで泣いている小学1年生の児童を助けました。そして「無条件の愛情と正義」を象徴するのが、中学2年生の2人の生徒が取材に対して「すごいことはしていません。泣いているので助けただけ」という回答だと思います。つまり、「当たり前のことをした」と言っているように思います。

人間は生まれながらにして、そのような「無条件の愛情と正義」を持っているという考えた方は、「性善説」といいます。性善説は2000年以上前に生きていた中国人の孟子が唱えた考え方です。孟子は「性善説」を証明するため、次のような話をしました。

「幼児が井戸をのぞきこんで、落ちそうになっている。無知な幼児は井戸に落ちたあと、どうなるか、想像ができない。そのまま、幼児を放っておけば、幼児は井戸から落ちて、死んでしまうかもしれない。近くにいるあなたは幼児とは無関係。しかし、どのような人でもその幼児を助けたいと思ってしまう。これが哀れみの心(惻隠の情)であり、仁()の始まりである」

以上は意訳ですが、孟子が言いたかった「性善説の根拠」が伝わるかと思います。

2000年以上前に示された性善説ですが、今日においても、それはやはり正しいのではないかと思います。今回のブログで述べた私の体験談やニュースも、人の善性のあらわれのように思います。

世の中には、悲しい話、ひどい話もありますが、このように感動するような素敵な話があることもご紹介したいと思います。そして、素敵な話が溢れていくことを願っております。


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