作家に必要な力が人生を充実させる力になる!?

2019/06/27



みなさんは小説などの物語をよく読みますか?物語をよく読む人は、物語の魅力に引き込まれた経験があると思います。物語には、それぞれ特徴があり、様々な世界観があることに驚きを隠せないこともあると思います。
では、そのような物語を創る作家には、どのような力が必要なのでしょうか。それに対して、文豪の夏目漱石は「作家は如何にして世の中を解釈するかという点に帰着する」という回答をしていたようです。
(以下、2019年6月14日朝日新聞デジタルから引用)
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夏目漱石(1867~1916)が若い読者向けに語った文学観を、聞き書きした文章が確認された。1908(明治41)年9月発行の雑誌「青年評論」第4号に、「文学志望者のために」という題名で掲載されていた。一部の要約は別の雑誌に掲載されていたが、全文の存在は研究者にも知られていなかった。

(中略)

「文学の基礎学」では、小説を書くときに「作家は如何(いか)に世の中を解釈するかという点に帰着する」と述べ、「面白く解釈すれば、読者にも面白みが起こり、深く見深く解釈すれば深く感じ、高尚なれば高尚に感ずる」、そのために「準備の出来た眼(め)が欲しい。此(この)訓練は即(すなわ)ち学問である」と説く。ただ、英国の作家ディケンズ(1812~70)などの名をあげ、学問がなくとも「世の中を見、世の中を解釈する力が自(おのずか)ら備」わっている「文学的の頭や眼(まなこ)」を持つ人がいるとも述べる。

(後略)
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このように夏目漱石は、作家には「世の中を解釈する力」が必要で「面白く解釈すれば、読者にも面白みが起こり」、そのための訓練が「学問」であると述べています。これは、作家ではない一般の人々にも、大切な力ではないでしょうか。その「世の中を解釈する力」によって「世の中を面白く解釈」すれば、「楽しい世の中」となり「楽しい人生」となるのではないでしょうか。

それでは、具体的に人生を面白く生きようとした人も紹介します。
人生、山あり谷あり。その中でも波乱万丈の人生を歩んだ幕末に活躍した高杉晋作は、このように遺言を残しています。

「おもしろき こともなき世に おもしろく」
(面白くもない世の中に面白く)

その言葉を継ぐように、側で高杉晋作を看病していた野村望東尼が次のように述べました。

「すみなすものは 心なりけり」
(住み家とするのは、心持ち次第)

つまり、高杉晋作が「面白くもない世の中に面白く生きた(あるいは、生きたかった)」と述べたのに対して、野村望東尼は「住み家とするの(人生)は心持ち(解釈)次第」と、応えたのでした。
高杉晋作の人生は、牢屋に入れられたり、長州藩内で義挙(内乱)を起こしたり、亡命したり、幕府と戦ったりした末に27歳の若さで病死しましたが、その中でも面白く生きようとしたのが高杉晋作でした。

高杉晋作と高杉の人生を解釈した野村望東尼が示したように、山あり谷ありの人生でも「面白い」と解釈することができます。みなさんも解釈、あるいは心持ちによって人生を面白く充実させられると素敵だと思いました。
 

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